心の病気の診断の重要性について
- 2023年1月4日
- 心の病気と治療
心の病気を治療するためには、まずその病気の正しい診断をしなければなりません。でなければ、間違った治療法が選択されることになり、病気がいつまでも治らなかったり、かえって病状が悪くなることになります。
経験を積んだ専門医ならば、患者様の今までの詳細な病歴や今現在本当に困っている症状などを総合的に判断し、初診時の診察で80%以上の正しい確率で確定診断をします。この初回の診察による診断を横断的診断と言います。
初回の診察の結果、治療薬が処方されます。与えられた薬を医師の指示どおり飲むことによって早ければ1~2週間後に、遅くとも4週間後には病状の改善が現れます。例えば、抗うつ薬が処方され1~2週間後に病状が劇的に改善したならば、その病気の診断は90%以上の正しい確率でうつ病だったと判明し、最初の診断が正しいかったと分かります。これを、治療的診断と言います。
また、さらに数週間の治療経過を観察して行く中で追加診断などを行うことを縦断的診断と言います。
ただ、初診時の診察の際に医師に多少の思い違いがあり、処方された治療薬を1~2週間服薬しても全く改善しない場合には、その診断には誤差があったと思われます。その場合は、医師はすぐに診断と治療方針を変更して、より正しい診断によるより的確な治療を開始します。
ですから、こころの病気を治療するためには、まずは正しい診断を受けることが重要なのです。