65歳以上の高齢者の3人に1人は、認知症か認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)の可能性があります。
アルツハイマー型認知症は、全体の50~60%を占めるほど、一番多く診断されます。初期症状は、もの忘れです。記憶障害のほかに、日時や場所がわからなくなるといった見当識障害、使える言葉が少なくなる失語、衣服を着られなくなる失行、道具の使い方や人の顔がわからなくなる失認などの症状もみられ、理解力や判断力も低下し、買い物や料理が出来なくなり、お金もおろせなくなるといった遂行機能障害が出現します。初期には物盗られ妄想が出現することがあり、進行すると1人では生活ができなくなります。
血管性認知症は、全体の15%を占めます。高血圧や糖尿病を合併している人に多く、脳梗塞などの脳血管障害を繰り返し起こした後に、階段状に進行します。
レビー小体型認知症は、全体の10%を占めます。人物や小動物などの幻視やパーキンソン症状などがみられ、うつ病やせん妄などの精神症状を合併しやすく、また睡眠中の異常行動の出現や転倒しやすいのも特徴です。
前頭側頭型認知症は、全体の数%を占めます。50歳代から60歳代と若くして発症することが多く、甘いものが好きなるといった食行動の変化、いつも同じ行動を繰り返す常同行為、万引きやわいせつ行為をするなどの脱抑制的な行動をとる性格変化も特徴的に認められます。
嗜銀顆粒性認知症は、全体の10%以上を占めるといわれています。発症は、80歳代と遅く、緩徐に進行します。脳の画像診断で、海馬領域の萎縮が著明なことから、アルツハイマー型認知症と誤診されることもあります。
いずれの認知症も、進行すると不眠、不穏、興奮、暴言・暴力、徘徊、不潔行為などのBPSD(行動心理症状)が出現しますので、その対応が重要です。
そのため、いずれの認知症も早期発見と早期治療が大切になります。
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